PCリサイクル業者を見分け、選んでいくためのチェックポイントについて、確認をつづけます。
悪徳不要品回収業者がそうであるように、悪質なPCリサイクル業者も基本的には「向こうからやってくる」ことが多いです。「処分にお困りの情報機器はありませんか、あれば無料で引き取ります」などと接触してくるパターンです。
引っかからないようにするにはある程度の「知識」が必要です。
まずもって、前述したように「法人で使用した事業系PCは、きちんと法にのっとって廃棄しなければならない」ことを知らないと、飛び込みの悪質業者に引っかかるリスクが高まります。「不法投棄されると、廃棄した個人・法人も重く罰せられる」ことを知らないと、事の重大さも身にしみません。
ということで、前の記事に書いた「悪質業者の特徴と手口」もひとつの知識、ネガティブ評価項目の情報でした。つづいてここでは、「良心的な業者を選ぶ」という趣旨で、ポジティブ評価項目を確認していきます。
良心的なPCリサイクル業者を見分けるポイント
良心的なPCリサイクル業者については、「向こうからやってくる」のを待つのではなく、「こちらから」探しましょう。上記のような法についての認識があれば、おのずとそうする必要があることはわかるでしょう。
どんなPCリサイクル業者が存在するかは、タウンページやネット検索で調べがつきます。よさそうな業者があったら、ホームページなどの情報源を探して、以下のようなポイントをチェックしましょう。
長い沿革・豊富な実績
ある程度の長い歴史をもつ会社がいいでしょう。長く事業を継続できているということは、まっとうなビジネスで信頼を積み重ねているのです。
ただし、PCのリユース・リサイクル事業について長い歴史がある必要はないです。のちに「リユースPC」の話題のところでくわしく書きますが、中古PC(リユースPC)の価値が大きく高まりはじめたのが、せいぜい10年ほど前から、2005~2010年くらいの時期からなのです。そのくらいからPCリユース・リサイクル事業に取り組んでいるとすれば、その業者は十分に先駆的で、するどいビジネスセンスを持っていると言えます。
ただ、PCを含むICT機器の製造・メンテナンスに長くたずさわっているという歴史と経験は欲しいところです。リユース・リサイクルをおこなう技術力にかかわってくるからです。
実績については、多いに越したことはありません。法人クライアントの数や、処理した廃棄ICT製品の数が多ければ多いほど、技術力も信頼性も高いものと推認されます。この点は要チェックです。
許可・認可・資格
前の記事に書いたことですが、「古物営業法にもとづく表示」はかならず確認しましょう。
それから、ISO9001(品質マネジメント)、ISO14001(環境マネジメント)、ISO/IEC27001(情報セキュリティーマネジメント)、Pマーク(個人情報保護)といった資格認証のステータスです。必須ではありませんが、表示がある方が安心です。
サービス内容・対応の多様性
対応可能なサービス内容です。いちばん肝心なポイントでしょう。「○○はできない」というのがあまり多いようでは困ります。
廃棄PCをどのような方法で業者に引き渡せるかの問題です。
PCがデスクトップなのかラップトップなのか、あるいは数が何台あるのかといったさまざまな状況によって変わってきますが、
・宅配便で業者に送付する
・業者がトラックで引き取りに来る
・廃棄する側が業者に持ち込む
など、状況に応じてふさわしい選択肢があることが望ましいでしょう。上に挙げたような方法に対応できる業者を選びたいものです。
どのサービスにいくらの料金が必要なのか、追加料金が発生することはあるのかといった料金体系は明確に、わかりやすく提示すべきです。
PCリサイクルではなくてPC修理店の話ですが、2016年、「修理一律4,980円」をうたいながら、それが「1修理あたり」であること、それは基本料金にすぎ「部品代は別途必要」であること、「キャンセル料が10,000円かかる」ことなどがホームページ上でほとんど隠すようにしか書いていない業者が問題になりました。そんな不明朗な商売はぼったくりバーと同じです。明確でわかりやすい表示が必要です。
マシンの買い取り基準も同様です。どのような破損や故障が評価額のマイナスを大きくするのか、どのような製品は引き取れないのか、表示すべきです。PCの買い取り価格は編式による変動が大きくなるので表示しにくいところがありますが、問い合わせれば明確に答えられる体制はととのえておいてもらいたいものです。
重要な機密情報が入っているPCをゆだねるのですから、情報セキュリティーマネジメントの体制がととのっていることはもちろん、HDDのデータ消去についても十分な技術力をもっている必要があります。具体的なデータ消去の手法については次の記事でくわしく書きますが、複数あるソフトウェアやテクノロジー、方式について、どれを提供できるのか説明している業者が望ましいでしょう。
・HDDに無意味なデータを上書きする方法
・HDDに乱数を上書きしたうえに、さらに無意味なデータを上書きする方法
・磁気破壊でディスクを消磁する方法
・物理的に破壊する方法
こういった手法があります。さらに、PCやHDD、その他のメディアを社外に持ち出せない規則の会社のために、出張によるオンサイト・データ消去サービスにも対応できる業者がいいでしょう。
PCリサイクル業者は、PCを再生するか、部品や金属・樹脂素材を抜き出すかしたうえで自社の廃棄物として廃棄します。したがって、元の所有法人がPCを捨てているわけではないので、「廃棄物管理表(マニフェスト)」を起票・交付する必要はありません。
しかし、税務関係の事務に「固定資産除却証明書」が必要になることもあります。また、ISO/IEC27001やPマークの認証には「データ消去作業完了報告書」が必要になるでしょう。そういった必要な証明書各種の作成・発行に対応できるかどうかも要チェックポイントです。
中古PCをいかに良好な状態まで再生できるかという技術、および、1台のPCからどれだけ徹底的に部品、金属、樹脂といった再利用可能な素材を抜き出せるかという技術の高さです。
どちらも、直接的には廃棄する法人ユーザーの利害を左右するものではありません。しかし、双方ともに、引き渡したPCの利用価値を最大化する技術ですから、それらの技術が高ければ高いほど、引き取り金額も高くしやすいでしょう。
この点を考えると、「引き渡したPCに、より長くより豊かな余生を与えてくれる技術をもった業者」、「引き渡したPCを、文字通りホネのズイまでしゃぶりつくしてくれる業者」にお任せしたくなるはずです。
そうしますと、PCリサイクル業者には、もてる技術水準の高さを、具体的に堂々とアピールしてほしくなります。このポイントも、できるだけチェックしたいところです。
よい業者を見つけて長いお付き合いを
法律にのっとって適正に廃棄しなければならないPC、不法投棄されると自社に処罰のリスクをもたらすPC。
高い技術力をもって適正に処理できる、良心的で優秀なPCリサイクル業者が見つかれば、それは宝物です。是非長くお付き合いをして、win-winの関係を築きましょう。
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